日本の文学賞

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山本周五郎賞 やまもとしゅうごろうしょう

第36回(2023年)

大衆文学時代小説

受賞者

5名
永井紗耶子 ながい さやこ 受賞

雪の夜、芝居小屋の裏手で果たされた仇討ち。その場にいた人々の証言をたどるうち、語り草になった事件の見え方が少しずつ揺らぎ、最後に真実の輪郭が立ち上がる。

芝居小屋に刻まれた仇討ちの記憶を、複数の語り手がほどいていく。

272ページ
仇討ち芝居小屋群像劇人の情け
浅倉秋成 あさくら あきなり 候補

SNS上で殺人犯に仕立てられた男が、たった数時間で敵に囲まれた現実から逃げながら、誰が自分を陥れたのかを追う。ネットの群衆心理と、見たいものしか見ない危うさを突く逃亡サスペンス。

一瞬で敵を増やした男が、真相と自分自身の輪郭を追いかける。

368ページ
SNS炎上冤罪逃亡劇群衆心理
荻堂顕 おぎどう あきら 候補

歴史を抹消された独裁国家で、児童の奇病をきっかけに現地調査に入った主人公が、理想郷の奥に隠れた暴力と断絶に向き合う。生命倫理と国家の記憶をめぐる、近未来の諜報小説。

抹消された国の理想郷に、いまも消えていない闇がある。

416ページ
近未来生命倫理諜報小説国家の記憶
岩井圭也 いわい けいや 候補

デナリをめぐる登山と、故郷の海面上昇に向き合う二人の女性の歩みが重なり、頂を目指す行為そのものの意味が問われる。真偽と記憶、友情と名誉が交錯する山岳小説。

白い峰をめざすほど、失われたものの輪郭がくっきりしていく。

320ページ
山岳小説友情環境危機真偽
吉川トリコ よしかわ とりこ 候補

2029年から1979年まで、十年ごとに時間をさかのぼりながら、ひとつの家族に隠された秘密が明かされていく。軽やかな読み心地の奥で、家族の歴史と個人の選択がじわじわ組み替わる連作長編。

家族の断片をつないでいくたび、過去の景色がまったく違って見えてくる。

320ページ
家族連作秘密時間の往還