日本の文学賞

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山本周五郎賞 やまもとしゅうごろうしょう

第32回(2019年)

大衆文学時代小説

受賞者

5名
朝倉かすみ あさくら かすみ 受賞

故郷に戻った中年の男が、病院の売店で中学時代の同級生と再会するところから始まる恋愛小説。介護、離婚、病、生活の不安を抱えた五十代の男女が、若さの熱ではなく、長く生きてきた者同士の距離感で互いに近づいていく。

人生の平場に立つ五十代の男女が、静かに互いを求める大人の恋愛小説。

248ページ
中年の恋再会介護地方都市老いと生活
芦沢央 あしざわ おう 候補

怪談執筆の依頼を受けた作家が、かつて体験した凄惨な記憶と向き合い、神楽坂を舞台にした不可解な事件を小説として追う連作ミステリ。実話めいた語り口で怪異と犯罪の境界を曖昧にしながら、最後にひとつの恐ろしい真相へ読者を導く。

怪談を書くことが、封じていた過去と最恐の真実を呼び寄せる。

221ページ
怪談暗黒ミステリ神楽坂記憶の封印どんでん返し
赤松利市 あかまつ りいち 候補

紀州雑賀崎を発祥とする一本釣り漁師たちが、日本海の孤島で再起を図る長編ノワール。時代遅れとなった男たちの漁、儲け話、欲望が絡み合い、地域産業復活の物語に見えたものが破滅へ転がり落ちていく。

一本釣り漁師の再起は、欲にまみれた破滅の序曲へ変わっていく。

408ページ
漁師ノワール欲望地方産業破滅
木皿泉 きざら いずみ 候補

人間そっくりのロボットがいじめや虐待を監視しているという都市伝説を起点に、人生の危機に立つ人々の小さな罪と赦しを描く連作短編集。誰かに見られている不安と、誰かが見守ってくれているかもしれない救いが同居する。

都市伝説の「カゲロボ」は、追い詰められた人の罪と赦しを静かに照らす。

256ページ
都市伝説見守り罪と赦しいじめ連作短編
澤田瞳子 さわだ とうこ 候補

仁和寺の僧・寛朝が東国で出会う若き平将門を通じ、武士の世の胎動を描く歴史長編。荒ぶる土地、戦場の熱、中央と東国の緊張を背景に、のちに謀反人と呼ばれる男の姿を力強く立ち上げる。

平将門という荒ぶる存在を通して、武士の世が生まれる瞬間を描く。

410ページ
平将門平安時代武士の胎動東国歴史長編