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第14回(1992年) 受賞受賞作: 星条旗の聞こえない部屋
星条旗の聞こえない部屋 は、日本語で書くことを選んだ語り手が、アメリカと日本のはざまで自己の言葉を探す小説である。異文化の距離、言語の身体感覚、記憶の揺らぎが、越境文学としての緊張を生む。
聞こえない国歌の向こうで、語り手は自分の言葉を探しはじめる。
193ページ越境文学言語アイデンティティ
リービ英雄
りーび ひでお
Riibi Hideo
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1950-11-29 (バークレー(カリフォルニア州、アメリカ合衆国))
- 国籍
- アメリカ合衆国
- 言語
- 日本語, 英語
- 居住地歴
- バークレー(カリフォルニア州) → 台湾 → 香港 → 日本
経歴
- 職業
- 小説家, 日本文学者, 翻訳家, 大学教員
- 活動期間
- 1992年〜
- 所属
- プリンストン大学(助教授、かつて), スタンフォード大学(准教授、テニュア付、かつて), 法政大学 国際文化学部(教授、のち名誉教授)
- 影響を受けた人物
- 中上健次, 司馬遼太郎, ポール・アンドラー
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| プリンストン大学 | 大学院(東洋学専攻) | 東洋学 | 博士(文学) | 1970s - 1978 | アメリカ合衆国 |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1982 | 全米図書賞 | 万葉集(英訳) | — | 全米図書賞運営団体 | 受賞 |
| 1992 | 野間文芸新人賞 | 星条旗の聞こえない部屋 | — | 野間文芸賞選考委員会 | 受賞 |
| 2005 | 大佛次郎賞 | 千々にくだけて | — | 大佛次郎賞選考委員会 | 受賞 |
| 2007 | 国際文化奨励賞 | — | — | 国際交流基金 | 受賞 |
| 2009 | 伊藤整文学賞 | 仮の水 | — | 伊藤整文学賞選考委員会 | 受賞 |
| 2017 | 読売文学賞 | 模範郷 | — | 読売新聞社 | 受賞 |
| 2021 | 野間文芸賞 | 天路 | — | 野間文化財団 | 受賞 |
受賞・候補エディション
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第11回(1998年) 候補受賞作: 国民のうた
『国民のうた』は、リービ英雄の同時代文学の実験性や達成を評価する賞で候補となった作品です。題名が示すモチーフを軸に、人物の行動や時代の空気を通して主題を立ち上げる作品として読めます。
『国民のうた』は、受賞時の評価対象となった主題を読者に印象づける作品です。
181ページ受賞作人物描写時代性
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第32回(2005年) 受賞受賞作: 千々にくだけて
同時多発テロ直後、アメリカへ向かう途中でカナダに足止めされた日本語作家の体験を、小説として結晶させた作品。国境の閉鎖、砕けた世界像、複数言語の感覚が重なる。
砕け散った世界のあとで、日本語は国境を越える経験をどう語るのか。
165ページ越境文学テロ後の世界日本語文学国境移動
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第20回(2009年) 受賞受賞作: 仮の水
台湾・香港・日本をまたぐ移動の記憶を、複数の土地と言葉の感触から描く短編集。越境する語り手の視線を通して、帰属の揺らぎと日本語で書くことの緊張が浮かび上がる。
水のように仮のかたちを取りながら、言葉と土地のあいだを渡る物語。
160ページ越境言語地方と記憶
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第68回(2016年) 受賞受賞作: 模範郷
『模範郷』は、リービ英雄による受賞作。人物の選択、時代や場所の空気、語りの余韻を通じて、読後に残る問いを描く作品として整理した。
『模範郷』は、受賞歴と書誌情報をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。
文学人生記憶
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第74回(2021年) 受賞受賞作: 天路
亡き母の死を受け止められない在日アメリカ人の作家が、チベット高原で死生観と出会う越境文学。言葉と文化のあいだを旅しながら、喪失を別のかたちで引き受け直していく。
チベット高原で、死と再生の道をたどる。
192ページ越境文学チベット喪失母の死言語
作品
代表作
星条旗の聞こえない部屋
1992年 小説リービ英雄のデビュー作。日米の文化摩擦やアイデンティティ、家族史を横断して描く長編小説。
- 英訳: A Room Where the Star-Spangled Banner Cannot Be Heard(Christopher D. Scott、Columbia University Press、2011)
天安門
1996年 小説中国現代史、とくに天安門をめぐる記憶や政治的影響を扱った作品。
国民のうた
1998年 小説ナショナリズムや共同体意識と個人の関係を問い直す小説。
ヘンリーたけし レウィツキーの夏の紀行
2002年 小説/紀行登場人物の旅を通じて記憶や文化の交叉を描く中編・長編群。
千々にくだけて
2005年 小説断片的な視点と記憶の層を通して家族と歴史を描く作品。
仮の水
2008年 小説喪失と身体性、存在の揺らぎをめぐる作品。伊藤整文学賞受賞作。
模範郷
2016年 小説社会と個人、模範と逸脱をテーマにした長編。読売文学賞受賞作。
天路
2021年 小説老いや歴史、旅を巡る物語。野間文芸賞受賞作。
万葉集(英訳)
1981年 翻訳(古典)『万葉集』の英訳。リービによる代表的な学術翻訳であり、全米図書賞などで評価された。
- Princeton University Press(初版1981年、再版1987年)
Hitomaro and the Birth of Japanese Lyricism
1984年 研究書柿本人麻呂と日本叙情詩の成立を論じた学術研究。
全著作
- 星条旗の聞こえない部屋(1992)
- 日本語の勝利(評論、1992)
- 天安門(1996)
- 新宿の万葉集(評論、1996)
- 国民のうた(1998)
- アイデンティティーズ(評論、1997)
- ヘンリーたけし レウィツキーの夏の紀行(2002)
- 千々にくだけて(2005)
- 仮の水(2008)
- 日本語を書く部屋(評論、2001)
- 我的中国(評論、2004)
- 英語でよむ万葉集(岩波新書、2004)
- 越境の声(評論、2007)
- 延安 革命聖地への旅(評論、2008)
- 我的日本語(筑摩選書、2010)
- 大陸へ アメリカと中国の現在を日本語で書く(2012)
- 模範郷(2016)
- 天路(2021)
- 万葉恋歌――Love Songs from the Man'yoshu(英訳、2000)
- Man'yo Luster――万葉集(英訳、2002)
作家による翻訳
- 万葉集(英訳: The Ten Thousand Leaves、Princeton University Press、1981)
- Hitomaro and the Birth of Japanese Lyricism(著作・英語)
- 加賀乙彦『錨のない船――Riding the East Wind』(英訳、講談社インターナショナル、2002)
- 柳澤桂子『生きて死ぬ智慧』(英訳、2004)
- 般若心経(英訳)
作品の翻訳
- 『星条旗の聞こえない部屋』英訳:A Room Where the Star-Spangled Banner Cannot Be Heard(Christopher D. Scott、2011)
- 万葉集の英訳版(Princeton University Press、1981/再版1987)
作風・主題
- 文体
- 越境的な叙述詩的で沈黙を重視する文体多言語的視点を取り入れる
- 頻出モチーフ
- 言語とアイデンティティ国家と個人移動・旅記憶と喪失
評価・遺産
リービ英雄はアメリカ生まれのユダヤ系作家・翻訳者で、日本語による創作と日本古典の英訳の両面で知られる。万葉集の英訳など学術的成果と、日本語で書かれた小説群により日米の文学的越境を体現する作家として評価される。法政大学での教育・研究活動も長く、日本国内外で学術的影響を残している。
資料所蔵先
- プリンストン大学図書館(関連資料所蔵)
- アメリカ議会図書館(Library of Congress)
- 国立国会図書館(日本)
豆知識
- 日本語を母語としないが、日本語で創作を続ける作家の代表的存在である。
- 父は外交官で、幼少期に台湾・香港・日本・アメリカを転々とした。
- 『万葉集』の英訳で全米図書賞を受賞した(1982年)。
- 法政大学の教授(のち名誉教授)として長年日本で教育・研究に従事した。