日本の文学賞

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芸術選奨文部科学大臣賞 げいじゅつせんしょう もんぶかがくだいじんしょう

第41回(1991年)

演劇映画音楽舞踊文学美術放送大衆芸能芸術振興評論メディア芸術美術A美術B

受賞者

17名
森内俊雄 受賞

二十六編を収めた短編集。老い、帰郷、季節の感触、夢の痛みなどを細やかな文体で結び、静かな時間の中に人の生の陰影を浮かび上がらせる。

季節の移ろいと記憶の底に、人生の冷たい光が差し込む。

259ページ
短編集老い記憶季節
安東次男 受賞

芭蕉の連句を読み解く評論。俳諧の共同性と即興性を、詩人・批評家としての鋭い言語感覚でたどり、古典を現代の読みに開く。

連句の息づかいを、風狂の余韻として読み直す。

216ページ
芭蕉連句俳諧古典批評
今西祐行 受賞
今西祐行全集

今西祐行の童話・児童文学を集成した全集。小さな生きものや子どものまなざし、戦争と記憶をめぐる作品群を通じて、詩情と倫理感を備えた作家像を伝える。

童話のやわらかな語りの中に、命と記憶への深いまなざしが宿る。

児童文学童話戦争の記憶全集
清水邦夫 受賞
弟よ―姉、乙女から坂本龍馬への伝言

坂本龍馬の姉・乙女を軸にした舞台作品。幕末の家族関係と歴史の転換点を、姉から弟へのまなざしとして立ち上げる。

歴史上の英雄を、姉の言葉と記憶から見つめ直す。

演劇幕末坂本龍馬家族
加藤幸子 受賞

尾崎翠の作品世界を、感覚、幻想、女性の内面表現から読み解く評論。作家への敬意と小説家自身の感受性が重なり、近代文学の異色の魅力を浮かび上がらせる。

尾崎翠の不思議な感覚を、作家の目で読みひらく。

253ページ
尾崎翠女性文学幻想文学評論
小栗康平 受賞
死の棘

島尾敏雄の同名小説を映画化した小栗康平監督作。夫婦の断絶と再生を、張り詰めた演技と抑制された映像で描く。

夫婦の傷と沈黙が、逃げ場のない時間として迫る。

映画夫婦精神の危機島尾敏雄
日下武史 受賞
ひかりごけ

武田泰淳の作品をもとにした舞台で、人肉食の記憶と罪の意識をめぐる重い題材に向き合う。日下武史の演技は、極限状況の人間を抑制と迫力で示した。

極限の記憶を、声と身体で舞台上に引き寄せる。

演劇戦争記憶
兼高かおる世界の旅

長寿旅行番組として、海外の風景・生活・文化を日本の視聴者へ伝えた放送作品。兼高かおるの語りと取材姿勢が、未知の土地を身近に感じさせる役割を果たした。

まだ遠かった世界を、家庭の画面へ運んだ旅行番組。

放送旅行海外文化テレビ史
菊地悌子 受賞
Don-Don

菊地悌子の音楽活動における受賞対象作。題名の反復的な響きが示すように、リズムと身体感覚を前面に出した演奏成果として扱われる。

反復する響きが、演奏の身体性と緊張を引き出す。

音楽演奏リズム現代性
山村楽正 受賞
芦刈

上方舞の伝統を踏まえた地歌舞の演目。風に揺れる芦の葉に女心を重ねる古典的な情趣を、山村楽正の品格ある舞が支えた。

揺れる芦に心の揺れを託す、上方舞の繊細な舞台。

上方舞地歌古典舞踊情趣
平松保城 受賞
作品展

金属造形家・平松保城の作品をまとめて示した展覧会。素材の硬さと装身具的な精密さを併せ持ち、工芸と彫刻の境界を横断する仕事として位置づけられる。

金属の硬質な光が、身につける造形の詩情へ変わる。

金属工芸ジュエリー造形展覧会
松樹路人 受賞
松樹路人展

具象洋画家・松樹路人の作品展。身近な人物や静物、風景を抒情と構成力で描き、戦後日本洋画の中で独自の清澄な画面を築いた。

白を基調とした画面に、生活と記憶の静かな気配が宿る。

洋画具象静物展覧会
関本明正 受賞
五常楽

雅楽の古典曲をめぐる演奏成果。宮廷音楽の型と響きを現代の舞台で精緻に示し、古典芸術の継承と演奏技術の高さを伝える。

古い楽の型が、端正な響きとして舞台に立ち上がる。

雅楽古典芸術演奏伝統
大原誠 受賞
不熟につき……

NHKドラマスペシャルとして制作されたテレビドラマ。未熟さを抱えた人間の揺れを、テレビ演出の細やかな呼吸で描き出した。

未熟さを抱えた人の姿を、画面の呼吸で見つめる。

テレビドラマ演出人間関係未熟さ
その男ゾルバ

ニコス・カザンザキス原作に連なるミュージカルの日本上演。藤田まことはゾルバの荒々しさと人間的な温かさを併せて演じ、舞台俳優としての幅を示した。

荒々しく、陽気で、孤独な男を舞台いっぱいに立ち上げる。

ミュージカル演劇主演ゾルバ
日下武史 受賞
ひかりごけほか

日下武史の舞台成果を複数作として捉える受賞対象。重い題材を扱う「ひかりごけ」を中心に、俳優の声、間、身体の制御が作品の緊張を支えた。

声と沈黙の強度が、舞台の倫理的な重さを支える。

演劇俳優戦争舞台表現
菊地悌子 受賞
Don-Donでの演奏

菊地悌子の「Don-Don」での演奏を対象とする受賞。反復的な音型とリズムを、演奏者の集中力と身体の動きで立ち上げる。

音の反復が、演奏者の集中と身体を鮮やかに映す。

音楽演奏打楽的表現リズム