日本の文学賞

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安岡章太郎

やすおか しょうたろう

Yasuoka Shoutarou

プロフィール

性別
男性
生誕
1920-04-18 (高知市(高知県))
死没
2013-01-26 (東京都(詳細非公開)) 92歳
国籍
日本
言語
日本語
宗教
カトリック 1988年受洗
居住地歴
高知市(出生地) → 市川市(幼児期) → 京城(現・ソウル、幼少期) → 弘前市(小学校在住) → 東京(青山・目黒・小岩など) → 藤沢市・鵠沼(1945–1952) → ナッシュビル(米国留学・滞在)

経歴

職業
小説家, 随筆家, 文芸評論家
活動期間
1951年〜2013年
所属
日本芸術院, 三田文学会
所属団体
日本芸術院会員, 三田文学会(理事長を務めた)
影響を受けた人物
遠藤周作
ノミネート
第25回芥川賞候補(1951) — ガラスの靴, 第27回芥川賞候補(1952) — 宿題, 第28回芥川賞候補(1952) — 愛玩

学歴

慶應義塾大学
英文科 / 英文学科
期間: 1941–1948(学徒動員による中断あり)
卒業年: 1948
国: 日本
学徒動員で召集され満州に赴き、除隊後復学して1948年に卒業。結核や脊椎カリエスの療養を経ての卒業。

受賞歴

芥川龍之介賞
1953
対象作品: 悪い仲間・陰気な愉しみ
主催: 文藝春秋
結果: winner
芸術選奨
1960
対象作品: 海辺の光景
主催: 文化庁
結果: winner
野間文芸賞
1960
対象作品: 海辺の光景
主催: 野間文化財団
結果: winner
毎日出版文化賞
1967
対象作品: 幕が下りてから
主催: 毎日新聞社
結果: winner
読売文学賞(小説賞)
1974
対象作品: 走れトマホーク
主催: 読売新聞社
結果: winner
日本芸術院賞
1976
主催: 日本芸術院
結果: winner
日本文学大賞
1981
対象作品: 流離譚
主催: 日本文学大賞運営委員会
結果: winner
野間文芸賞
1989
対象作品: 僕の昭和史(全3巻)
主催: 野間文化財団
結果: winner
川端康成文学賞
1991
対象作品: 伯父の墓地
主催: 川端康成文学賞選考委員会
結果: winner
朝日賞
1992
対象作品: 1950年代からの業績
主催: 朝日新聞社
結果: winner
勲三等瑞宝章
1993
主催: 日本国政府
結果: conferred
読売文学賞(随筆・紀行賞)
1996
対象作品: 果てもない道中記
主催: 読売新聞社
結果: winner
大佛次郎賞
2000
対象作品: 鏡川
主催: 大佛次郎賞選考委員会
結果: winner
文化功労者
2001
主催: 日本国政府
結果: honor

受賞・候補エディション

芥川龍之介賞 1回登壇
  1. 「悪い仲間」「陰気な愉しみ」は、安岡章太郎の初期短編で、第29回芥川賞を受賞した二作である。幼少期からの孤立感、やましさ、病と家庭への違和を、軽妙さと自嘲を帯びた文体で描き、第三の新人を代表する作家の出発点を示した。

    やましさと孤立を軽妙な文体で捉え、戦後文学に新しい内面の声をもたらした受賞二作。

    350ページ
    第三の新人孤立感やましさ芥川賞
野間文芸賞 2回登壇
  1. 受賞作: 海辺の光景

    精神を病み海辺の病院に入院している母を、息子の信太郎が父とともに見舞う九日間を描く。母の死に向き合う現在と、戦後の窮乏や家族の記憶が重なり、親子の愛憎と虚無感が静かな緊張の中に浮かび上がる。

    母の死を見守る九日間が、家族の記憶と戦後の空白を照らし出す。

    336ページ
    母の死家族の相克戦後の記憶虚無第三の新人
  2. 受賞作: 僕の昭和史

    『僕の昭和史』は安岡章太郎による、人物の記憶や関係の揺らぎを通じて、時代や人生の陰影を描く作品です。受賞作として、題名が示す主題を軸に、読後に残る余韻を重んじた一作として位置づけられます。

    『僕の昭和史』は、短い題名の奥に人物、時代、土地の気配を重ねる作品です。

    816ページ
    記憶家族時代喪失
  1. 受賞作: 幕が下りてから

    戦後日本の生活感覚と人間の弱さを、抑制された筆致で描く小説。舞台の幕が下りた後に残る感情のように、過去と現在の関係を静かに見つめる。

    幕が下りてからは、安岡章太郎の仕事を代表する受賞作として、題名に込められた主題を読者に印象づける。

    戦後文学記憶人間心理
新潮社文学賞 1回登壇
  1. 受賞作: 幕が下りてから

    演劇と日常の境目に残る感情をたどり、人間関係の余韻と喪失感を静かな筆致で描く作品。

    「幕が下りてから」は、安岡章太郎の表現が凝縮された受賞対象作品です。

    戦後文学記憶人間関係
読売文学賞 1回登壇
  1. 受賞作: 走れトマホーク

    『走れトマホーク』は、安岡章太郎による文学作品。読売文学賞の受賞作として、作者の主題意識と文体の特徴を示す一作です。

    走れトマホークは、読売文学賞で評価された安岡章太郎の作品です。

    文学小説受賞作
日本芸術院賞 1回登壇
  1. 受賞作: 作家としての業績

    安岡章太郎の作家に関する長年の達成が受賞対象。特定の一冊ではなく、継続的な創作・批評・演奏活動が日本芸術院賞で評価された。

    一冊の作品ではなく、安岡章太郎の蓄積された仕事そのものが評価された受賞。

    業績日本芸術院賞
日本文学大賞 1回登壇
  1. 受賞作: 流離譚

    安岡章太郎による受賞作。作品名と受賞文脈から、当時の創作活動を示す一作として扱われる。

    流離譚は、安岡章太郎の受賞歴を代表する作品の一つ。

  1. 受賞作: 伯父の墓地

    安岡章太郎が、伯父の死と墓地をめぐる記憶を通じて、家族史と老いの感覚を静かに掘り下げる短篇。過去を語り直す筆致に、時間の隔たりと情の濃淡がにじむ。

    墓地をめぐる記憶が、家族の時間を静かに呼び戻す。

    205ページ
    短篇小説家族史記憶老い第三の新人
大佛次郎賞 1回登壇
  1. 受賞作: 鏡川

    『2000』は作者による受賞作。作品名が示す主題を軸に、人物や時代の感触を読ませる。

    『2000』は、受賞作として読み継がれる作品です。

    文学賞受賞作人間関係時代の感触

作品

代表作

ガラスの靴

1951年 短編小説

結核療養中に執筆され、芥川賞候補となり注目を集めたデビュー作。若者の内面と疎外感を描く短篇。

私小説的内面描写病と身体疎外感

悪い仲間

1953年 短編・中篇小説

1953年の芥川賞受賞作の一つ。友情や関係性の薄さ、若者のもろさを描く短編群の代表作。

友情と裏切り若者像存在の不安

海辺の光景

1959年 長編小説/短編集

1950年代の作風を代表する作品。個人の内面と日常の情景を繊細に描く。

日常と記憶私小説郷愁

幕が下りてから

1967年 小説

舞台的な比喩を用いながら人間関係や社会との接点を描いた作品で、毎日出版文化賞を受賞。

人間関係社会批評劇性

流離譚

1981年 長編小説

自身の家系史や土佐藩の歴史などを題材にした長編。日本文学大賞受賞作。

家族史歴史と私郷里の記憶

僕の昭和史(全3巻)

1984年 自伝・回想録

戦後から昭和期にかけての自身の経験や時代の記憶を語る回想録。野間文芸賞受賞。

回想と歴史戦後体験文学の自覚

鏡川

2000年 小説

地方の風景や家族の記憶を描いた晩年の代表作の一つ。大佛次郎賞受賞。

郷愁と風景家族記憶

全著作

  • 悪い仲間
  • ガラスの靴・愛玩
  • 海辺の光景
  • 質屋の女房
  • 幕が下りてから
  • 流離譚
  • 鏡川
  • 走れトマホーク
  • 僕の昭和史(全3巻)
  • 果てもない道中記
  • アメリカ感情旅行
  • ソビエト感情旅行
  • 舌出し天使
  • 青葉しげれる
  • 自叙伝旅行
  • 幕が下りてから
  • 僕の東京地図
  • まぼろしの川
  • 死との対面 瞬間を生きる

作家による翻訳

  • ルーツ(アレックス・ヘイリー、共訳)
  • エンリコ(マルセル・ムルージ?、共訳)

作風・主題

文体
私小説的内面描写中心の文体口語的で明快な語り口随筆的評論の鋭い観察
頻出モチーフ
病と肉体戦争体験と帰還者の視点家族史・郷里の記憶街や日常の細部描写

健康

  • 脊椎カリエス(結核性脊椎炎)
    1945頃〜1954(自然治癒が報告されるまで)
    長期間の療養・コルセット着用・寝たきりの期間があり、創作や人生観に強い影響を与えた。
  • 肺結核
    1944–1945(学徒動員中に発病し除隊)
    兵役除隊の原因となり、以後療養しながら執筆活動を開始した。

評価・遺産

戦後日本文学を代表する作家の一人。私小説的な内面描写と幅広い評論・随筆活動で高く評価され、村上春樹らにも評価される存在となった。遺稿や資料は神奈川近代文学館の「安岡章太郎文庫」として保存されている。

記念館・博物館

  • 神奈川近代文学館(安岡章太郎文庫) 神奈川県(横浜市ほか)
  • 高知県立文学館(所蔵・巡回展示あり) 高知県

関連学会

  • 三田文学会
  • 日本芸術院

資料所蔵先

  • 安岡章太郎文庫(神奈川近代文学館)
  • 安岡家住宅(香南市山北、国指定重要文化財関連)

大衆文化への影響

  • 2016年 神奈川近代文学館で特別展「安岡章太郎展―〈私〉から〈歴史〉へ」
  • 村上春樹が展覧会図録に寄稿(没後の評価を高める一助となる)

引用

  • 戦後の日本の小説家の中でいちばん文章がうまい人だ。
    出典: 村上春樹(展覧会図録寄稿・BRUTUS等) (2021年)
  • いつ芥川賞をもらってもフシギのない作家だ。
    出典: 坂口安吾(芥川賞選評より) (1953年)

豆知識

  • 戸籍上の誕生日は5月30日だが、本人は4月18日を誕生日として記している。
  • 学徒動員で満州に従軍したが、肺結核により除隊・内地送還された。
  • 脊椎カリエスにより長期間療養しコルセット着用や寝たきりの期間があり、その体験が創作動機になった。
  • 『ガラスの靴』で文壇に登場し、1953年に『悪い仲間』等で芥川賞を受賞した。
  • 遺族は約4,000点の原稿・書簡等を神奈川近代文学館に寄贈し『安岡章太郎文庫』として保存されている。
  • 1988年(周作の影響を受けて)カトリックの洗礼を受けた。
  • 『ルーツ』(アレックス・ヘイリー)などの翻訳も手がけた。
  • 『第三の新人』の一員として戦後文学の一角をなした。