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第29回(1953年) 受賞受賞作: 悪い仲間・陰気な愉しみ
「悪い仲間」「陰気な愉しみ」は、安岡章太郎の初期短編で、第29回芥川賞を受賞した二作である。幼少期からの孤立感、やましさ、病と家庭への違和を、軽妙さと自嘲を帯びた文体で描き、第三の新人を代表する作家の出発点を示した。
やましさと孤立を軽妙な文体で捉え、戦後文学に新しい内面の声をもたらした受賞二作。
350ページ第三の新人孤立感やましさ病芥川賞
安岡章太郎
やすおか しょうたろう
Yasuoka Shoutarou
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1920-04-18 (高知市(高知県))
- 死没
- 2013-01-26 (東京都(詳細非公開)) 92歳
- 国籍
- 日本
- 言語
- 日本語
- 宗教
- カトリック 1988年受洗
- 居住地歴
- 高知市(出生地) → 市川市(幼児期) → 京城(現・ソウル、幼少期) → 弘前市(小学校在住) → 東京(青山・目黒・小岩など) → 藤沢市・鵠沼(1945–1952) → ナッシュビル(米国留学・滞在)
経歴
- 職業
- 小説家, 随筆家, 文芸評論家
- 活動期間
- 1951年〜2013年
- 所属
- 日本芸術院, 三田文学会
- 所属団体
- 日本芸術院会員, 三田文学会(理事長を務めた)
- 影響を受けた人物
- 遠藤周作
- ノミネート
- 第25回芥川賞候補(1951) — ガラスの靴, 第27回芥川賞候補(1952) — 宿題, 第28回芥川賞候補(1952) — 愛玩
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 慶應義塾大学 | 英文科 | 英文学科 | — | 1941–1948(学徒動員による中断あり) | 日本 |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1953 | 芥川龍之介賞 | 悪い仲間・陰気な愉しみ | — | 文藝春秋 | winner |
| 1960 | 芸術選奨 | 海辺の光景 | — | 文化庁 | winner |
| 1960 | 野間文芸賞 | 海辺の光景 | — | 野間文化財団 | winner |
| 1967 | 毎日出版文化賞 | 幕が下りてから | — | 毎日新聞社 | winner |
| 1974 | 読売文学賞(小説賞) | 走れトマホーク | — | 読売新聞社 | winner |
| 1976 | 日本芸術院賞 | — | — | 日本芸術院 | winner |
| 1981 | 日本文学大賞 | 流離譚 | — | 日本文学大賞運営委員会 | winner |
| 1989 | 野間文芸賞 | 僕の昭和史(全3巻) | — | 野間文化財団 | winner |
| 1991 | 川端康成文学賞 | 伯父の墓地 | — | 川端康成文学賞選考委員会 | winner |
| 1992 | 朝日賞 | 1950年代からの業績 | — | 朝日新聞社 | winner |
| 1993 | 勲三等瑞宝章 | — | — | 日本国政府 | conferred |
| 1996 | 読売文学賞(随筆・紀行賞) | 果てもない道中記 | — | 読売新聞社 | winner |
| 2000 | 大佛次郎賞 | 鏡川 | — | 大佛次郎賞選考委員会 | winner |
| 2001 | 文化功労者 | — | — | 日本国政府 | honor |
受賞・候補エディション
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第13回(1960年) 受賞受賞作: 海辺の光景
精神を病み海辺の病院に入院している母を、息子の信太郎が父とともに見舞う九日間を描く。母の死に向き合う現在と、戦後の窮乏や家族の記憶が重なり、親子の愛憎と虚無感が静かな緊張の中に浮かび上がる。
母の死を見守る九日間が、家族の記憶と戦後の空白を照らし出す。
336ページ母の死家族の相克戦後の記憶虚無第三の新人 -
第41回(1988年) 受賞受賞作: 僕の昭和史
『僕の昭和史』は安岡章太郎による、人物の記憶や関係の揺らぎを通じて、時代や人生の陰影を描く作品です。受賞作として、題名が示す主題を軸に、読後に残る余韻を重んじた一作として位置づけられます。
『僕の昭和史』は、短い題名の奥に人物、時代、土地の気配を重ねる作品です。
816ページ記憶家族時代喪失
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第21回(1967年) 受賞受賞作: 幕が下りてから
戦後日本の生活感覚と人間の弱さを、抑制された筆致で描く小説。舞台の幕が下りた後に残る感情のように、過去と現在の関係を静かに見つめる。
幕が下りてからは、安岡章太郎の仕事を代表する受賞作として、題名に込められた主題を読者に印象づける。
戦後文学記憶人間心理
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第14回(1967年) 候補受賞作: 幕が下りてから
演劇と日常の境目に残る感情をたどり、人間関係の余韻と喪失感を静かな筆致で描く作品。
「幕が下りてから」は、安岡章太郎の表現が凝縮された受賞対象作品です。
戦後文学記憶人間関係
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第25回(1973年) 受賞受賞作: 走れトマホーク
『走れトマホーク』は、安岡章太郎による文学作品。読売文学賞の受賞作として、作者の主題意識と文体の特徴を示す一作です。
走れトマホークは、読売文学賞で評価された安岡章太郎の作品です。
文学小説受賞作
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第32回(1976年) 受賞受賞作: 作家としての業績
安岡章太郎の作家に関する長年の達成が受賞対象。特定の一冊ではなく、継続的な創作・批評・演奏活動が日本芸術院賞で評価された。
一冊の作品ではなく、安岡章太郎の蓄積された仕事そのものが評価された受賞。
業績日本芸術院賞
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第14回(1982年) 受賞受賞作: 流離譚
安岡章太郎による受賞作。作品名と受賞文脈から、当時の創作活動を示す一作として扱われる。
流離譚は、安岡章太郎の受賞歴を代表する作品の一つ。
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第18回(1991年) 受賞受賞作: 伯父の墓地
安岡章太郎が、伯父の死と墓地をめぐる記憶を通じて、家族史と老いの感覚を静かに掘り下げる短篇。過去を語り直す筆致に、時間の隔たりと情の濃淡がにじむ。
墓地をめぐる記憶が、家族の時間を静かに呼び戻す。
205ページ短篇小説家族史記憶老い第三の新人
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第27回(2000年) 受賞受賞作: 鏡川
『2000』は作者による受賞作。作品名が示す主題を軸に、人物や時代の感触を読ませる。
『2000』は、受賞作として読み継がれる作品です。
文学賞受賞作人間関係時代の感触
作品
代表作
ガラスの靴
1951年 短編小説結核療養中に執筆され、芥川賞候補となり注目を集めたデビュー作。若者の内面と疎外感を描く短篇。
悪い仲間
1953年 短編・中篇小説1953年の芥川賞受賞作の一つ。友情や関係性の薄さ、若者のもろさを描く短編群の代表作。
海辺の光景
1959年 長編小説/短編集1950年代の作風を代表する作品。個人の内面と日常の情景を繊細に描く。
幕が下りてから
1967年 小説舞台的な比喩を用いながら人間関係や社会との接点を描いた作品で、毎日出版文化賞を受賞。
流離譚
1981年 長編小説自身の家系史や土佐藩の歴史などを題材にした長編。日本文学大賞受賞作。
僕の昭和史(全3巻)
1984年 自伝・回想録戦後から昭和期にかけての自身の経験や時代の記憶を語る回想録。野間文芸賞受賞。
鏡川
2000年 小説地方の風景や家族の記憶を描いた晩年の代表作の一つ。大佛次郎賞受賞。
全著作
- 悪い仲間
- ガラスの靴・愛玩
- 海辺の光景
- 質屋の女房
- 幕が下りてから
- 流離譚
- 鏡川
- 走れトマホーク
- 僕の昭和史(全3巻)
- 果てもない道中記
- アメリカ感情旅行
- ソビエト感情旅行
- 舌出し天使
- 青葉しげれる
- 自叙伝旅行
- 幕が下りてから
- 僕の東京地図
- まぼろしの川
- 死との対面 瞬間を生きる
作家による翻訳
- ルーツ(アレックス・ヘイリー、共訳)
- エンリコ(マルセル・ムルージ?、共訳)
作風・主題
- 文体
- 私小説的内面描写中心の文体口語的で明快な語り口随筆的評論の鋭い観察
- 頻出モチーフ
- 病と肉体戦争体験と帰還者の視点家族史・郷里の記憶街や日常の細部描写
健康
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脊椎カリエス(結核性脊椎炎)1945頃〜1954(自然治癒が報告されるまで)長期間の療養・コルセット着用・寝たきりの期間があり、創作や人生観に強い影響を与えた。
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肺結核1944–1945(学徒動員中に発病し除隊)兵役除隊の原因となり、以後療養しながら執筆活動を開始した。
評価・遺産
戦後日本文学を代表する作家の一人。私小説的な内面描写と幅広い評論・随筆活動で高く評価され、村上春樹らにも評価される存在となった。遺稿や資料は神奈川近代文学館の「安岡章太郎文庫」として保存されている。
記念館・博物館
- 神奈川近代文学館(安岡章太郎文庫) 神奈川県(横浜市ほか)
- 高知県立文学館(所蔵・巡回展示あり) 高知県
関連学会
- 三田文学会
- 日本芸術院
資料所蔵先
- 安岡章太郎文庫(神奈川近代文学館)
- 安岡家住宅(香南市山北、国指定重要文化財関連)
大衆文化への影響
- 2016年 神奈川近代文学館で特別展「安岡章太郎展―〈私〉から〈歴史〉へ」
- 村上春樹が展覧会図録に寄稿(没後の評価を高める一助となる)
引用
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戦後の日本の小説家の中でいちばん文章がうまい人だ。
出典: 村上春樹(展覧会図録寄稿・BRUTUS等) (2021年) -
いつ芥川賞をもらってもフシギのない作家だ。
出典: 坂口安吾(芥川賞選評より) (1953年)
豆知識
- 戸籍上の誕生日は5月30日だが、本人は4月18日を誕生日として記している。
- 学徒動員で満州に従軍したが、肺結核により除隊・内地送還された。
- 脊椎カリエスにより長期間療養しコルセット着用や寝たきりの期間があり、その体験が創作動機になった。
- 『ガラスの靴』で文壇に登場し、1953年に『悪い仲間』等で芥川賞を受賞した。
- 遺族は約4,000点の原稿・書簡等を神奈川近代文学館に寄贈し『安岡章太郎文庫』として保存されている。
- 1988年(周作の影響を受けて)カトリックの洗礼を受けた。
- 『ルーツ』(アレックス・ヘイリー)などの翻訳も手がけた。
- 『第三の新人』の一員として戦後文学の一角をなした。