日本の文学賞

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初子さん
palmbooks

初子さん

赤染晶子

あんた、きっとうまいこといくで。 あんパンとクリームパンしか売っていないパン屋の二階で、 初子さんは今日もひとりミシンを踏む。 文學界新人賞受賞デビュー作「初子さん」 傑作「うつつ・うつら」に 単行本初収録「まっ茶小路旅行店」を加えた 著者の原点となる小説集。 子供の頃、一枚の布が人のからだを待つ洋服となるのに魅せられ、洋裁の職人となった初子さん。夢を叶えたはずなのに、かわりばえしない毎日がどうして、こんなにこたえるのだろう。ーー「初子さん」 わて、実はパリジェンヌですねん。京都の古い劇場で赤い振袖姿で漫談をするマドモアゼル鶴子。彼女をおびやかすのは沈黙の客席か、階下の映画館から聞こえてくる女の悲鳴か、言葉を覚える九官鳥か。ーー「うつつ・うつら」 路地にある社員三人の旅行代理店に勤める咲嬉子は、世界中の危険を知りながら今日も世界平和を装う。旅の果てで出会うのは蜃気楼か。すりガラスの窓の向こうに見える日常が蜃気楼なのか。ーー「まっ茶小路旅行店」 生きることのままならなさを切実に、抜群のユーモアをもって描きだし、 言葉によって世界をかたちづくり、語りと現実のあわいを問う 『じゃむパンの日』の著者の原点にして、そのすべてが詰まった小説集。

鷗外の甍 (かりん叢書)
短歌研究社

鷗外の甍 (かりん叢書)

坂井修一

「鷗外守」は、森鷗外ゆかりの図書館に関わる歌人が、歴史を伝える場所と自らの日常を重ねて詠む二十首の連作である。学者としての仕事と歌を詠む営みのあいだに、先人たちの言葉を受け継ぐ静かな意識が浮かび上がる。

リストランテ・ヴァンピーリ
新潮社

リストランテ・ヴァンピーリ

二礼樹

銀翼戦争後の北の街を舞台に、会員制リストランテ〈オンブレッロ〉で解体師として働くオズヴァルドが、吸血鬼を名乗る男と出会う。美少年ルカや元王女の殺し屋エヴェリスとともに、食材として冷凍されていた男の謎から闇の世界へ踏み込んでいくヴァンパイア・ミステリ。

午前零時の評議室
光文社

午前零時の評議室

衣刀信吾

裁判員に選ばれた7人がオリエンテーション会場に集められる。そこで突如、タイムリミットを午前零時とし、正しい結論を導けなければビルを爆破すると宣言される。密室と化した評議室で参加者たちが謎解きに挑む一方、外では弁護士の羽水が被告人の無実を信じて独自に調査を続ける。法廷×デスゲーム×本格ミステリの三位一体で描く、息もつかせぬタイムリミット・サスペンス。第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

世界99 上
集英社

世界99 上

村田 沙耶香

『世界99』は、性格を持たないまま周囲に呼応し、集団ごとに人格を作り替えて生きる如月空子を軸にした上下巻のディストピア長編である。かわいらしい存在として現れたピョコルンが社会の仕組みを変えていくなか、差別、搾取、性、家族、記憶、適応の問題が、空子の半生とともに不穏に展開していく。

星に届ける物語:日経「星新一賞」受賞作品集 (新潮文庫 ほ 4-81)
新潮社

星に届ける物語:日経「星新一賞」受賞作品集 (新潮文庫 ほ 4-81)

藤崎慎吾, 相川啓太, 佐藤実

2064年、人工知能が生身の人間を研究し、論文を執筆する未来を舞台にしたSF短編。実在の学術論文を思わせる形式で、人工知能と人類の相互作用、そして高度な知性がもたらす未来を科学的な論理で描く。

グッナイ・ナタリー・クローバー
集英社

グッナイ・ナタリー・クローバー

須藤 アンナ

第37回小説すばる新人賞受賞作。霧に覆われた架空の町チェリータウンに暮らす13歳のソフィアは、酒場を経営するDV父スタンリーに抑圧され、兄エディとともに息の詰まる日々を送っていた。ある夏、向かいの老人の家に「毎週生まれ変わる」と自称する不思議な少女ナタリー・クローバーが預けられてくる。記憶が一週間しか持続しないナタリーと、何度でも友達になり直しながら町の地図を作り歩くうちに、ソフィアは長い間押し殺してきた自分の願いに気づいていく。孤独を抱えた二つの心が奏でるひと夏の永遠の物語。