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第31回(1954年) 受賞受賞作: 驟雨
「驟雨」は、吉行淳之介の芥川賞受賞作で、男女の欲望、嫉妬、倦怠を冷静な観察で描く初期代表作である。性を通じて、肉体の確かさと精神の不確かさ、人間関係に潜む孤独を見つめ、戦後文学の新しい感覚を示した。
にわか雨のように訪れる欲望と倦怠が、男女の関係の奥にある孤独を浮かび上がらせる。
336ページ男女関係欲望と倦怠戦後文学芥川賞身体と精神
吉行 淳之介
よしゆき じゅんのすけ
Yoshiyuki Junnosuke
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1924-04-13 (岡山県岡山市)
- 死没
- 1994-07-26 (東京都中央区 聖路加国際病院) 70歳
- 国籍
- 日本
- 言語
- 日本語
- 居住地歴
- 岡山県岡山市(出生) → 東京都麹町(育った) → 千葉県佐原市(療養のため滞在) → 東京都中央区(晩年)
経歴
- 職業
- 小説家, 随筆家, 翻訳家, 編集者
- 活動期間
- 1946年〜1994年
- 所属
- 日本芸術院, 雑誌『面白半分』(創刊編集長), 新太陽社(かつて編集者として勤務)
- 所属団体
- 日本芸術院会員
- 影響を受けた人物
- 吉行エイスケ(父、詩人), ヘンリー・ミラー(翻訳対象として深く関わる)
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京大学 | 英文科 | 英文科 | — | 1945–1947(中退) | 日本 |
| 旧制静岡高等学校 | 文丙(仏語クラス) | 仏語 | — | 1941–1943(在学、途中休学あり) | 日本 |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1954 | 芥川龍之介賞 | 驟雨 | — | — | 受賞 |
| 1965 | 新潮社文学賞 | 不意の出来事 | — | 新潮社 | 受賞 |
| 1967 | 芸術選奨(文部大臣賞) | 星と月は天の穴 | — | — | 受賞 |
| 1970 | 谷崎潤一郎賞 | 暗室 | — | — | 受賞 |
| 1976 | 読売文学賞 | — | — | 読売新聞社 | 受賞 |
| 1978 | 野間文芸賞 | 夕暮まで | — | 野間文化財団 | 受賞 |
| 1979 | 日本芸術院賞 | — | — | 日本芸術院 | 受賞 |
| 1986 | 講談社エッセイ賞 | — | — | 講談社 | 受賞 |
| 1994 | 従四位(没時叙位) | — | 叙位 | 日本政府 | 叙位 |
| 1994 | 勲三等瑞宝章(没時叙勲) | — | 叙勲 | 日本政府 | 叙勲 |
受賞・候補エディション
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第14回(1961年) 候補受賞作: 闇のなかの祝祭
吉行淳之介の『闇のなかの祝祭』は、男と女の関係をめぐる不安、欲望、虚無を描いた長編である。現実味の薄い祝祭感と暗い心理が絡み合い、吉行文学らしい官能と醒めた視線が並び立つ。
祝祭の気配は、闇の中で人間の孤独をいっそう濃くする。
179ページ男女関係欲望虚無官能心理 -
第31回(1978年) 受賞受賞作: 夕暮まで
二十二歳の杉子と中年男の佐々の関係を通じて、欲望、戸惑い、老いへの怖れを繊細に描く長編。都会的な会話の奥に、肉体と精神の距離が冷ややかに浮かび上がる。
洗練された会話の奥で、男女の不安が静かに形を変える。
184ページ男女関係老い都会小説
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第11回(1964年) 候補受賞作: 砂の上の植物群
父の死と、父に似た青年への意識をめぐって、血縁、性愛、記憶が乾いた緊張の中で絡み合う長篇小説。都市的で抑制された筆致が、登場人物の屈折した感情を浮かび上がらせる。
砂の上に根を張ろうとする植物のように、登場人物たちは不安定な関係の中で生を探る。
259ページ父と子性愛都市記憶 -
第12回(1965年) 受賞受賞作: 不意の出来事
場末のキャバレーで働く女、気弱な男、三流週刊誌の記者である語り手をめぐる関係を、抑えた筆致で描く短篇。出来事の派手さよりも、人間関係のずれと偶然の残酷さが静かに残る。
不意に起こる出来事が、曖昧な関係の均衡を静かに崩していく。
354ページ偶然都会の孤独男女関係短篇小説
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第17回(1967年) 受賞受賞作: 星と月は天の穴
『星と月は天の穴』は吉行淳之介の受賞作で、人物の内面と時代の空気を結びつけながら、人間の選択や記憶の重さを描く作品である。
『星と月は天の穴』は、個人の経験を通して時代の陰影を読ませる作品である。
恋愛孤独都市
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第6回(1970年) 受賞受賞作: 暗室
『暗室』は吉行淳之介による長編小説。閉じられた空間の感覚を通じて、愛欲と孤独の緊張を描く。
暗室は、時代の陰影の中で人が抱える痛みと意志を見つめる作品。
恋愛孤独都市
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第27回(1975年) 受賞受賞作: 鞄の中身
表題作を含む短編集で、日常の中に潜む不安や倦怠、死の気配を精密に描く。吉行淳之介の短編技法が凝縮され、読売文学賞の受賞作となった。
鞄の中にしまわれたもののように、人間の不安が静かに姿を現す。
301ページ短編集不安倦怠死
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第35回(1979年) 受賞受賞作: 作家としての業績
『作家としての業績』は吉行淳之介による作品で、1979-1回の受賞作として位置づけられる。
『作家としての業績』は、吉行淳之介の表現と受賞当時の文学的関心を伝える作品である。
文学賞人物時代
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第2回(1986年) 受賞受賞作: 人工水晶体
吉行淳之介が白内障と診断され、人工水晶体移植手術によって視力を取り戻すまでを描いた体験記。身体の変化、医療への不安、見えることの回復を具体的に綴る。
視力を失いかけた作家が、手術と回復を通して見ることの意味を捉え直す。
196ページ医療体験視力老い身体
作品
代表作
驟雨
1954年 短編・小説病床の療養中に発表され芥川賞を受賞した短編を含む作品。性や人間関係を通じて内面をえぐる作風が特徴。
- 驟雨
砂の上の植物群
1964年 長編小説性と都市生活を背景に人間関係の微妙な均衡と崩壊を描いた長編。映画化もされた代表作の一つ。
- [映画] 砂の上の植物群 / 中平康 (1964)
- 砂の上の植物群
暗室
1970年 長編小説性を媒介に人間の深層心理を探る作品。谷崎潤一郎賞受賞作でもあり、吉行文学の代表的テーマが顕著に現れる。
- 暗室
鞄の中身
1974年 短篇集奇妙な味わいの短編を集めた一冊。私小説的要素や人間洞察が濃厚な短篇群。
- 鞄の中身
夕暮まで
1978年 長編小説中年以降の感情や日常の複雑さを描き、刊行後に社会現象的な反響を生んだ作品(「夕ぐれ族」の語源にもなった)。
- 夕暮まで
全著作
- 驟雨
- 原色の街
- 焔の中
- すれすれ
- 砂の上の植物群
- 暗室
- 鞄の中身
- 夕暮まで
- 軽薄のすすめ
- 人工水晶体
翻案
- 砂の上の植物群(映画化、1964年、監督:中平康)
作家による翻訳
- 愛と笑いの夜(ヘンリー・ミラー作、翻訳)
- 不眠症あるいは飛び跳ねる悪魔(ヘンリー・ミラー作、翻訳)
- 好色一代男(井原西鶴の現代語訳)
作品の翻訳
- 驟雨
- 砂の上の植物群
- 暗室
作風・主題
- 文体
- 私小説的な内省的文体会話や随談に長けた軽妙な語り性の描写を通じた人間心理の掘り下げ
- 頻出モチーフ
- 性孤独都市の風景酒と遊び
健康
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腸チフス幼少期(1940年前後)入院し療養。家族の変化を経験する要因の一つとなった。
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気管支喘息1944(徴兵検査の際に指摘)即日帰郷となり徴兵を免れる一因となった。
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結核(肺の空洞)1952–1953休職・長期療養の末、作家専業への転機となった。
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白内障(手術あり)1980年代中頃手術体験を著作(『人工水晶体』)にまとめるなど創作に反映。
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肝臓癌1994(没年)聖路加国際病院で治療の末、1994年に死去。
評価・遺産
戦後日本文学を代表する作家の一人。性や私的体験を軸に人間を深く描き、短編から随筆・翻訳まで幅広い著作を残した。文学賞の選考委員も長く務め、評論・対談でも影響を及ぼした。吉行淳之介文学館が掛川市に開設され、研究・展示が行われている。
記念館・博物館
- 吉行淳之介文学館 静岡県掛川市(ねむの木学園敷地内) 1999年開館
関連学会
- 日本芸術院
資料所蔵先
- 吉行淳之介文学館(資料・蔵書)
大衆文化への影響
- 「夕ぐれ族」という語を生んだ作品群により一時の社会現象に影響
- 阪神タイガースのファンとしての一面がトーク等で知られる
豆知識
- 父は詩人の吉行エイスケ、妹に女優の吉行和子と作家の吉行理恵がいる。
- 芥川賞受賞作『驟雨』は療養中に執筆・発表された。
- 長年にわたって多くの文学賞の選考委員を務めた。
- 晩年まで精力的に執筆を続け、1994年に没するまで活動した。